Nature ハイライト
医学:iPS細胞を使った成人発症型疾患モデル
Nature 494, 7435
繊維芽細胞を再プログラム化して患者特異的な誘導多能性幹細胞(iPSC)を作る技術が近年発達したことで、遺伝性疾患のin vitroモデルの作製が可能になった。しかし、成人発症型の疾患の場合、iPSCや幹細胞から生じた組織は、心筋細胞でもニューロンでも、胎児期のものに似た状態に「リセット」されているため、長い潜在期間を経た後に出現する病気の特徴的な性質を失っている。今回行われた研究で、遺伝性の成人発症型疾患を、数か月以内にモデル化できることが実証された。研究チームはplakophilin-2遺伝子に変異を持つ患者特異的iPSCを使って、不整脈惹起性右室異形成/心筋症のモデルを作製した。モデルには当初、病気の特徴的な症状は見られなかったが、5つの因子を使ったプロトコルで成人に似たエネルギー代謝を誘導すると、2か月以内に症状が出現した。
2013年2月7日号の Nature ハイライト
遺伝:カンジダ菌には半数体もある
構造生物学:IFITタンパク質によるウイルスRNAの認識
宇宙:超新星爆発に先立つ高エネルギー質量放出
工学:磁気を用いた論理の魅力
工学:長期DNAアーカイブは理にかなう
気候:北半球が南半球の退氷に及ぼす影響が確認された
生化学:TMC-1タンパク質による塩の感知
細胞:iPS細胞への免疫応答は起こらない
医学:iPS細胞を使った成人発症型疾患モデル
発生:初期胚中の三次元構造