Nature ハイライト
Cover Story:火入れが持つ問題:管理下にあって生物多様性が低下している生態系は、ストレスをこうむると崩壊の危機に直面する
Nature 494, 7435
北米の太平洋岸北西部に広がるオークサバンナでは、19世紀半ば以降、防火対策が講じられてきた。その結果生じた草原は植物種の数は減少したが、高収量の農業システムに似た、安定した高収量の年間生産量を示しており、侵入種および気候変動に対して立ち直りが早いという回復性を維持している。草原のいくつかの地点を選んで、焼いた後に回復させるという実験を周期的に繰り返した、長期にわたる研究により、生態系が撹乱をこうむった際には生物多様性がきわめて重要な価値を持つことが実証された。草原が火入れから回復できるのは、自生種の多様性が比較的高い地域に限られていた。この研究は、人類の持続的な活動が生態系の構造と機能の両方を均質化させることがある一方で、突然の撹乱を打ち消すのに必要な多様性に関連する機序を弱体化させる理由を明らかにしている。現在、人類の持続的な活動によって均質化されてしまった陸上生態系は多く、それらは突然の環境変化に対して同様に脆弱であると考えられるが、それがわかるのは、実際に崩壊が起こった後のこととなるだろう。表紙は草原を焼く野火。
2013年2月7日号の Nature ハイライト
遺伝:カンジダ菌には半数体もある
構造生物学:IFITタンパク質によるウイルスRNAの認識
宇宙:超新星爆発に先立つ高エネルギー質量放出
工学:磁気を用いた論理の魅力
工学:長期DNAアーカイブは理にかなう
気候:北半球が南半球の退氷に及ぼす影響が確認された
生化学:TMC-1タンパク質による塩の感知
細胞:iPS細胞への免疫応答は起こらない
医学:iPS細胞を使った成人発症型疾患モデル
発生:初期胚中の三次元構造