Nature ハイライト
細胞:多能性はどれほど多能なのか?
Nature 496, 7444
生物学における根本的な疑問の1つは、単一の幹細胞から多様な種類の組織がどのようにして発生するのかというものである。今回、この問題に取り組むために、マウスで「多分化能」を持つと考えられているリンパ球系前駆細胞(lymphoid-primed progenitor;LMPP)の細胞運命を単一細胞レベルで追跡するという研究が行われた。S Naikたちは高感度の細胞バーコーディング法を用い、数百のLMPPや造血幹細胞について、個々の細胞が生み出す細胞系譜をin vivoで追跡した。そして、「多能性」であると考えられていた前駆細胞のすべてが特に「多様な細胞を生み出す」という訳ではなく、多くのLMPPが単一の細胞系譜を生み出していることが明らかとなった。また、ある特定の樹状細胞を生み出す能力を持つLMPPが予想外に多いこともわかった。このことは、樹状細胞の系譜が骨髄性細胞やB細胞の系譜分岐とは全く異なることを示唆している。
2013年4月11日号の Nature ハイライト
植物科学:分裂組織活性化における栄養素の役割
構造生物学:テロメラーゼの構造を解明
宇宙:土星の環と大気をつなぐ雨
物性:フォトニック・トポロジカル絶縁体
気候:北半球高緯度域の温暖化
気候:河川はどのように基盤岩を通って流れるのか?
生態:タンパク質をリサイクルする海洋古細菌
神経科学:相反する複数の神経入力が不安を生み出す
細胞:多能性はどれほど多能なのか?
構造生物学:MATE薬剤輸送体の構造