Nature ハイライト
がん:紫外線は黒色腫の転移を誘導する
Nature 507, 7490
紫外線(UV)照射は黒色腫を引き起こすことが知られているが、UVの照射が微小環境に対する影響を介して、黒色腫の発生に間接的に影響するのかどうか、またどのような機序によって影響するのかははっきりしていない。今回T Tütingたちは、軽い日焼けを起こすのと同程度のUVをマウスに照射すると、黒色腫の転移が起こることがあるのを明らかにした。これは損傷を受けた皮膚細胞からクロマチンタンパク質HMGB1の放出が誘導されることによっている。HMGB1は炎症を引き起こし、それがさらに血管形成や黒色腫細胞の移動、転移形成を促進する。著者たちは、このモデル黒色腫では細胞が血管の管腔側ではない側面に沿って広がることを見いだした。この過程はangiotropism(血管に沿った細胞遊走という意味)と呼ばれている。この現象は患者では観察されていたが、これまで機構については説明がなかった。これらの知見は、黒色腫のリスク因子としてUV曝露を評価するのに重要な関わりがある。
2014年3月6日号の Nature ハイライト
地球:カンラン石の変形
医学:インフルエンザウイルスの進化を把握
植物科学:融通の利く硝酸輸送体
宇宙:星の周りで生まれつつある円盤内の化学構造
オプトメカニクス:新しい観点で電波を見る
材料科学:新しい分子準結晶材料
生態学:老齢林の重要性
神経科学:音声言語の処理には左右の脳半球が関わっている
細胞:再プログラム化による染色体再生
細胞:シトルリン化は多能性調節の鍵である
がん:紫外線は黒色腫の転移を誘導する