Nature ハイライト
宇宙:初期星形成のモデル
Nature 514, 7522
ヘリウムより重い元素は、天文学では「金属」というが、第一世代の星はこのような元素をほとんどあるいは全く含まないガスから形成された。こうした条件下での星形成過程はおそらく、現在の銀河に見られるものとは大きく異なっていたと思われる。今回Y Shiたちは、ハーシェル宇宙望遠鏡の遠赤外領域での機能を使って、2つの若い近傍銀河の塵に富んだ領域のマップを作製した。こうした領域の極端な条件は、初期宇宙の原始銀河に一般的だったものに似ている。彼らは、原子ガスが支配的な領域の塵/ガスの比を推測し、それを用いて星形成領域のガス量を見積もった。そして、星形成効率が、現在の金属豊富な標準的銀河に見られるものの10分の1であることを見いだした。この結果によって、初期宇宙でどのようにして星が形成されたのかを垣間見ることができ、初期の銀河形成の理論モデルを検証する便利なモデルが得られる。
2014年10月16日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:遺伝子に記されたオオカバマダラの「渡り」
細胞:長命の前駆細胞が血液細胞を生み出す
神経科学:グルタミン酸受容体の3つの状態の構造
宇宙:初期星形成のモデル
固体物理学:酸化銅の巨大励起子
電気化学:安価な液体電池の開発
地球化学:マントルプリュームの地球化学的性質
進化:群選択が働いている証拠
免疫:RIG-Iによる幅広いウイルス認識
がん:網膜芽細胞腫の起源