Nature ハイライト
進化:群選択が働いている証拠
Nature 514, 7522
進化論では、群選択によって、群れの繁栄を促進するような個体形質の進化が駆動され、それによって、群れを構成する個体の適応度上の長期的利益が高まると予測している。しかし、群選択を裏付ける実験的証拠は今のところほとんどない。今回、ヒメグモ科のAnelosimus studiosusという社会性のあるクモのコロニーを使って、群れレベルの形質であるコロニー内の「おとなしい個体:攻撃的個体」の比率が調べられた。野生コロニーでは、この比率に立地特異的という特徴が見られる。J PruittとC Goodnightは、さまざまな比率の実験コロニーを作製し、それらを自然界で定着させた。これらのコロニーは、比率が本来のものに近いものほど繁栄し、実験コロニーは2世代かけて、本来の立地で最適であったはずの値になるまで比率を調整した。この実験的証拠は、群れレベルの選択が自然界で実際に働いていることを示唆している。
2014年10月16日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:遺伝子に記されたオオカバマダラの「渡り」
細胞:長命の前駆細胞が血液細胞を生み出す
神経科学:グルタミン酸受容体の3つの状態の構造
宇宙:初期星形成のモデル
固体物理学:酸化銅の巨大励起子
電気化学:安価な液体電池の開発
地球化学:マントルプリュームの地球化学的性質
進化:群選択が働いている証拠
免疫:RIG-Iによる幅広いウイルス認識
がん:網膜芽細胞腫の起源