Nature ハイライト
がん:網膜芽細胞腫の起源
Nature 514, 7522
網膜芽細胞腫(RB)遺伝子の両方の対立遺伝子の不活化は、一般的には網膜芽細胞腫の形成を引き起こし、他の種類の腫瘍が形成されることはまれである。今回、D Cobrinikたちは、網膜芽細胞腫の起源となるヒト網膜の細胞を明らかにし、この理由を説明した。彼らの研究により、ヒト網膜のさまざまな細胞種の中で、RB欠損時に形質転換感受性になるのは錐体前駆細胞のみであることが分かった。これは、錐体前駆細胞に特異的な分子的枠組みによるもので、これは、例えばRB喪失に協力するように働くMDM2やMYCNの発現レベルが高いことなど、錐体前駆細胞特異的な分子的枠組みによるものである。このような原理は、イニシエーションのきっかけとなるある発がん性変異が、特定のタイプのがんに関連する傾向が高いことのより一般的な説明になるかもしれない。
2014年10月16日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:遺伝子に記されたオオカバマダラの「渡り」
細胞:長命の前駆細胞が血液細胞を生み出す
神経科学:グルタミン酸受容体の3つの状態の構造
宇宙:初期星形成のモデル
固体物理学:酸化銅の巨大励起子
電気化学:安価な液体電池の開発
地球化学:マントルプリュームの地球化学的性質
進化:群選択が働いている証拠
免疫:RIG-Iによる幅広いウイルス認識
がん:網膜芽細胞腫の起源