Nature ハイライト
固体物理学:酸化銅の巨大励起子
Nature 514, 7522
励起子、すなわち電子–正孔対は、半導体の光学的性質に重要な役割を果たしており、凝縮物質における水素原子の類似物と見なすことができ、水素原子と似た励起スペクトルを持つ。D Fröhlichたちは、単結晶酸化第一銅で励起子の励起系列を、主量子数n = 12というこれまでの記録からn = 25へ拡張した。このように高い量子数では、励起子の波動関数は約2 μmと巨大になり、この巨大な励起子(リュードベリ励起子とも呼ばれる)は互いに強く相互作用すると予測されている。著者たちは、励起子が存在すると、その近くにある別の励起子の励起が阻害されるというブロッケード効果の証拠を観測した。この研究によって、凝縮物質の光学を研究する新しい方向が開かれる。
2014年10月16日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:遺伝子に記されたオオカバマダラの「渡り」
細胞:長命の前駆細胞が血液細胞を生み出す
神経科学:グルタミン酸受容体の3つの状態の構造
宇宙:初期星形成のモデル
固体物理学:酸化銅の巨大励起子
電気化学:安価な液体電池の開発
地球化学:マントルプリュームの地球化学的性質
進化:群選択が働いている証拠
免疫:RIG-Iによる幅広いウイルス認識
がん:網膜芽細胞腫の起源