Nature ハイライト
材料化学:疎水性相互作用を調節する固定化イオン
Nature 517, 7534
いわゆる「疎水性」と呼ばれる効果は、水と油は混ざり合わないことや非極性表面で水滴が球状になることなど、よく知られた多くの界面現象、コロイド現象、生物物理学的現象の基礎となっている。疎水性効果は、非極性表面付近での水の構造化に起因する。しかし、単純な系の疎水性相互作用は理解されているが、生物学的、技術的に重要な構造体となると、ほとんどの場合、話は別である。このようなより複雑な系は、非極性領域と極性領域と帯電領域が密接に入り組んだパターンを特徴としている。今回C Maたちは、構造体表面の疎水性相互作用が、非極性領域の近くに位置するカチオンによって大きく変化することを示した。カチオンの種類によって、相互作用の強さが2倍になることもあれば、相互作用が消滅することもある。分子認識や自己集合の最適化に関しては、すでに確立された手法だけでなく、電荷を持つ基を疎水性領域付近にうまく配置する方法も、こうした過程を駆動する疎水力の調節に使えることを、この知見は示唆している。
2015年1月15日号の Nature ハイライト
遺伝学:サハラ以南のアフリカにおける遺伝的多様性
惑星科学:コンドリュールの起源
材料化学:疎水性相互作用を調節する固定化イオン
地球化学:地球のウラン同位体循環が明らかに
生物工学:ヌクレアーゼを使わないゲノムターゲッティングは安全性が高い
植物科学:保全農業は有効なのか?
進化学:細菌の長い進化ゲーム
神経科学:中枢神経系の味覚表現
免疫学:HIV-1潜伏感染リザーバーを調べる