Nature ハイライト
進化学:細菌の長い進化ゲーム
Nature 517, 7534
数百万年という時間スケールで起こる動物の表現型進化を追跡した研究はいろいろあり、ダーウィンフィンチ類のくちばしの進化に関する研究はその古典的な例である。今回D Vitkupたちは、進化の時間スケールを数十億年にまで広げ、細菌の増殖の比較解析を用いて種の分岐を追跡した。細菌は代謝の面で極めて多様であり、そのため、実質的に細菌類全体にわたって表現型の進化を調べることができる。著者たちは、最近開発された自動ネットワーク再構築プロトコルを用いて322種のゲノム規模の代謝モデルを得た。それらの進化の過程を観察したところ、最初に急激な表現型の多様化が起こり、続いてゆっくりした長期的な分岐が起こるという、2段階の過程を経ることが明らかになった。この進化パターンは、60通り以上の増殖条件下で40種の多様な細菌を用いて実験的に確認された。著者たちはこの結果を、タンパク質進化における分子時計によく似た「表現型時計」という考え方で解釈している。
2015年1月15日号の Nature ハイライト
遺伝学:サハラ以南のアフリカにおける遺伝的多様性
惑星科学:コンドリュールの起源
材料化学:疎水性相互作用を調節する固定化イオン
地球化学:地球のウラン同位体循環が明らかに
生物工学:ヌクレアーゼを使わないゲノムターゲッティングは安全性が高い
植物科学:保全農業は有効なのか?
進化学:細菌の長い進化ゲーム
神経科学:中枢神経系の味覚表現
免疫学:HIV-1潜伏感染リザーバーを調べる