Nature ハイライト
植物科学:保全農業は有効なのか?
Nature 517, 7534
現代の農業生産技術に生態学的管理手法(すなわち不耕起、永年的土壌被覆および輪作)を統合した「保全農業」の支持者は、この農業形態が世界の食糧供給を持続的に増加させる手段になると考えている。しかし、保全農業で作物収量が実際に維持されるのか、また、この農業形態が極めて多岐にわたる農耕状況に効果的に適用できるのかについて、確証を得ることはこれまで困難だった。今回C Pittelkowたちは、610件の研究による5000例以上の観察結果を用いたメタ解析で、保全農業の複数の手法を併用した農法が一定の条件下では従来型の農法と同等かそれ以上の収量を得られることを示している。保全農業の中心的概念である「不耕起」は、単独では収量に負の影響が出たが、保全農業の残り2つの手法(作物残渣の保留と輪作)と併用すると乾燥気候の天水作物生産性の向上につながったことから、重要な気候変動適応戦略となる可能性が示唆される。
2015年1月15日号の Nature ハイライト
遺伝学:サハラ以南のアフリカにおける遺伝的多様性
惑星科学:コンドリュールの起源
材料化学:疎水性相互作用を調節する固定化イオン
地球化学:地球のウラン同位体循環が明らかに
生物工学:ヌクレアーゼを使わないゲノムターゲッティングは安全性が高い
植物科学:保全農業は有効なのか?
進化学:細菌の長い進化ゲーム
神経科学:中枢神経系の味覚表現
免疫学:HIV-1潜伏感染リザーバーを調べる