Nature ハイライト

植物科学:保全農業は有効なのか?

Nature 517, 7534

イネの残渣が残る畑に直接播種されたヤエナリ(フィリピンにて)。
イネの残渣が残る畑に直接播種されたヤエナリ(フィリピンにて)。 | 拡大する

Credit: C.M. Pittelkow

現代の農業生産技術に生態学的管理手法(すなわち不耕起、永年的土壌被覆および輪作)を統合した「保全農業」の支持者は、この農業形態が世界の食糧供給を持続的に増加させる手段になると考えている。しかし、保全農業で作物収量が実際に維持されるのか、また、この農業形態が極めて多岐にわたる農耕状況に効果的に適用できるのかについて、確証を得ることはこれまで困難だった。今回C Pittelkowたちは、610件の研究による5000例以上の観察結果を用いたメタ解析で、保全農業の複数の手法を併用した農法が一定の条件下では従来型の農法と同等かそれ以上の収量を得られることを示している。保全農業の中心的概念である「不耕起」は、単独では収量に負の影響が出たが、保全農業の残り2つの手法(作物残渣の保留と輪作)と併用すると乾燥気候の天水作物生産性の向上につながったことから、重要な気候変動適応戦略となる可能性が示唆される。

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