Nature ハイライト

構造生物学:ABC輸送体の1つの構造

Nature 523, 7561

タンパク質を輸送するABC輸送体の1つであるPCAT(peptidase-containing ATP-binding cassette transporter)のX線結晶構造が、ATPの存在する場合と存在しない場合について明らかにされた。今回使われたPCATはクロストリジウム属の細菌Clostridium thermocellumに由来するものである。これらの構造と、さらに行われた生化学的実験の結果から、このタンパク質中の輸送経路はαヘリックスからなる大型のバレルで、脂質二重層をほぼ貫通していることが示された。αヘリックスが作るこのバレルの内腔は、完全に折りたたまれた小型のタンパク質を十分収容できる広さである。PCATは原核生物に広く存在する。グラム陽性菌のPCATはクオラムセンシングや抗菌に関わるポリペプチドの排出を行い、グラム陰性菌ではI型分泌系の一部として他の膜タンパク質と相互作用している。

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