Nature ハイライト
寄生虫学:薬剤スクリーニング用の改変型Cryptosporidium
Nature 523, 7561
消化管寄生性原虫であるCryptosporidiumは若齢小児の下痢症の主要な原因だが、これまで研究が難しかったために、感染対策に使えるワクチンは現在のところ無く、感染に対する治療薬もニタゾキサニドの1つしか存在しない。今回B Striepenたちは、クリプトスポリジウム症を引き起こすロバストな遺伝系について報告している。彼らはCRISPR/Cas9系を使って、スポロゾイトへのトランスフェクションを最適化し、それによってCryptosporidium parvumの遺伝学的修飾を行い、in vitroおよびin vivoでの薬剤スクリーニングに適した安定なトランスジェニック系列を作出した。この系を用いて、チミジンキナーゼをコードする遺伝子をノックアウトしてやると、Cryptosporidium野生株が抵抗性を示す抗マラリア薬であるトリメトプリムに対する感受性が上昇した。
2015年7月23日号の Nature ハイライト
計算論的神経科学:嗅内皮質のスピード細胞
構造生物学:ABC輸送体の1つの構造
中枢神経系疾患:外傷性脳損傷でのシス型リン酸化タウによるタウオパチー
太陽物理学:コロナジェット形成の再検討
DNAナノテクノロジー:グラフ理論が切り開くナノスケールの3Dプリンティングへの道
有機化学:キラルアミン合成が容易に
集団遺伝学:ケネウィックマンとは何者か
集団遺伝学:両親の血縁度は子の身長と知性に関連する
遺伝学:変異率変動を解析
植物科学:時間を記録する免疫系
寄生虫学:薬剤スクリーニング用の改変型Cryptosporidium