Nature ハイライト
植物科学:時間を記録する免疫系
Nature 523, 7561
概日時計は植物などの多くの真核生物で働いて、生物学的過程の24時間周期のリズムを確保しており、これは遺伝子転写への影響だけではなく、生体の酸化還元状態の調整によっても行われる。だが、酸化還元のリズムが概日時計と連動される分子機序や、酸化還元リズムと概日リズムの相互作用の生物学的な重要性はまだ解明されていなかった。X Dongたちは今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis)で、このような酸化還元リズムの調節因子が予想外のものであることを明らかにした。免疫のマスター調節因子であるNPR1は植物の酸化還元状態を感知し、朝および夕に発現する概日時計コア遺伝子の両方の転写を調節しているが、これは病原体の感染とは無関係であることが分かった。こうしたネットワーク構造は、植物が自身の免疫応答を朝に起こるように「限定」し、それによって夜間に行われる成長への影響を最小限にすることに役立っている。
2015年7月23日号の Nature ハイライト
計算論的神経科学:嗅内皮質のスピード細胞
構造生物学:ABC輸送体の1つの構造
中枢神経系疾患:外傷性脳損傷でのシス型リン酸化タウによるタウオパチー
太陽物理学:コロナジェット形成の再検討
DNAナノテクノロジー:グラフ理論が切り開くナノスケールの3Dプリンティングへの道
有機化学:キラルアミン合成が容易に
集団遺伝学:ケネウィックマンとは何者か
集団遺伝学:両親の血縁度は子の身長と知性に関連する
遺伝学:変異率変動を解析
植物科学:時間を記録する免疫系
寄生虫学:薬剤スクリーニング用の改変型Cryptosporidium