Nature ハイライト
疫学:マラリア制圧のための介入策の評価
Nature 526, 7572
サハラ以南のアフリカでは15年前から、歴史上最も大規模な公衆衛生活動の1つである協調的なマラリア制圧活動が繰り広げられている。蚊帳や抗マラリア薬などの介入策に数十億ドルが投じられてきたが、マラリアによる負荷に対する全般的効果はまだ明らかになっていない。今回、精緻な時空間モデル化の枠組みで約3万の集団(クラスター)から得られた実地調査データを用いた研究で、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)への感染リスクの変化や、マラリア介入策が果たした役割が定量化された。その結果、2000年以降の症例発生率が40%減少したことや、約7億症例が予防されたことが明らかになった。目標のレベルには達していないものの、現在のマラリア制圧活動はアフリカ全土でマラリアの発生率を大幅に減少させている。この活動の今後の継続的成功は、これらの介入策の利用を増やせるかどうか、また、殺虫剤や薬剤に対する耐性に直面して介入策の有効性を維持させられるかどうかにかかってくるだろう。
2015年10月8日号の Nature ハイライト
疫学:マラリア制圧のための介入策の評価
ウイルス学:SERINC5は天然の抗レトロウイルス薬である
構造生物学:グリシン受容体の作動機序
惑星科学:異彩を放つけんびきょう座AU星のデブリ円盤
量子物理学:2チャネル近藤物理が臨界となる
分析化学:新しい糖分析法
進化論:母親の状態と仔の性比
神経科学:ショウジョウバエ嗅覚系での神経符号化
がん:標的治療中の大腸がんのゲノミクス
システム生物学:出芽酵母における細胞サイズの決定
がん:メディエーターキナーゼ抑制の抗白血病作用