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疫学:マラリア制圧のための介入策の評価

Nature 526, 7572

サハラ以南のアフリカでは15年前から、歴史上最も大規模な公衆衛生活動の1つである協調的なマラリア制圧活動が繰り広げられている。蚊帳や抗マラリア薬などの介入策に数十億ドルが投じられてきたが、マラリアによる負荷に対する全般的効果はまだ明らかになっていない。今回、精緻な時空間モデル化の枠組みで約3万の集団(クラスター)から得られた実地調査データを用いた研究で、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)への感染リスクの変化や、マラリア介入策が果たした役割が定量化された。その結果、2000年以降の症例発生率が40%減少したことや、約7億症例が予防されたことが明らかになった。目標のレベルには達していないものの、現在のマラリア制圧活動はアフリカ全土でマラリアの発生率を大幅に減少させている。この活動の今後の継続的成功は、これらの介入策の利用を増やせるかどうか、また、殺虫剤や薬剤に対する耐性に直面して介入策の有効性を維持させられるかどうかにかかってくるだろう。

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