Nature ハイライト
ウイルス学:SERINC5は天然の抗レトロウイルス薬である
Nature 526, 7572
HIV-1に対するこれまで知られていなかった抑制因子が、M PizzatoたちのグループとH Göttlingerたちのグループによって明らかにされた。HIV-1がNefタンパク質を欠くと、宿主細胞の複数回膜貫通タンパク質であるSERINC3とSERINC5が組み立て中のウイルス粒子へと取り込まれ、HIV-1の感染を強く阻害する。Nefタンパク質は通常はHIV-1で発現されていて、SERINC3とSERINC5を細胞表面から減らすことでその働きに対抗し、これらがウイルス粒子へ取り込まれるのを防いでいる。このような知見は、SERINC5とそれよりは活性が弱いSERINC3が長らく探索されていた抗HIV-1活性を持つ因子であり、その作用がNefにより抑えられていることを明らかにしている。今回の結果によって、SERINC5が抗HIV-1治療の基盤になる可能性が浮上してきた。
2015年10月8日号の Nature ハイライト
疫学:マラリア制圧のための介入策の評価
ウイルス学:SERINC5は天然の抗レトロウイルス薬である
構造生物学:グリシン受容体の作動機序
惑星科学:異彩を放つけんびきょう座AU星のデブリ円盤
量子物理学:2チャネル近藤物理が臨界となる
分析化学:新しい糖分析法
進化論:母親の状態と仔の性比
神経科学:ショウジョウバエ嗅覚系での神経符号化
がん:標的治療中の大腸がんのゲノミクス
システム生物学:出芽酵母における細胞サイズの決定
がん:メディエーターキナーゼ抑制の抗白血病作用