Nature ハイライト
進化論:母親の状態と仔の性比
Nature 526, 7572
1973年、トリヴァーズとウィラードは生活史戦略に関する重要な論文を発表し、その中で、身体的状態の良好な母親は雄の仔を多く産む傾向があり、状態の不良な母親は雌の仔を多く産む傾向があると予測した。この理論はさまざまに拡張されて練り上げられてきたが、実証研究による裏付けはまだほとんど得られていない。その理由について、今回S Schindlerたちは、この理論を展開する対象となった一夫多妻制で性的二型性を示す種では、一般的に雌よりも雄の方が死亡率が高く、それが従来の研究で考慮されていなかったためではないかとしている。著者たちは元の理論を拡張して、死亡率、年齢特異的な生殖、および生活史戦略に見られる両性間の差異を組み込み、母親の状態と仔の性比との相関だけでは、母親が仔の性比を適応的に調整すると結論付けるのに不十分であることを示した。
2015年10月8日号の Nature ハイライト
疫学:マラリア制圧のための介入策の評価
ウイルス学:SERINC5は天然の抗レトロウイルス薬である
構造生物学:グリシン受容体の作動機序
惑星科学:異彩を放つけんびきょう座AU星のデブリ円盤
量子物理学:2チャネル近藤物理が臨界となる
分析化学:新しい糖分析法
進化論:母親の状態と仔の性比
神経科学:ショウジョウバエ嗅覚系での神経符号化
がん:標的治療中の大腸がんのゲノミクス
システム生物学:出芽酵母における細胞サイズの決定
がん:メディエーターキナーゼ抑制の抗白血病作用