Nature ハイライト
分子生物学:転写終結の制御
Nature 529, 7584
RNAポリメラーゼIIのC末端ドメインにある反復配列は、多数の修飾酵素の標的となることが多い。J Greenblattたちは今回、このC末端ドメインにあるアルギニン残基R1810が対称的にジメチル化される(R1810me2s)ことを明らかにし、詳しい解析を行った。R1810me2s修飾を行う酵素はPRMT5で、これはSMN(survival of motor neuron)タンパク質と結合し、またタンパク質のセナタキシンとも間接的に結合する。SMNとセナタキシンのどちらのタンパク質でも、神経変性疾患で変異が見つかっている。著者たちは、RNA Pol IIのR1810me2s修飾が、SMNやセナタキシンの活性と共に、転写の際に生じるRループを解消するための経路の一部を構成していて、この経路がないと転写終結がうまくいかず、遺伝子発現に影響が出ると考えている。
2016年1月7日号の Nature ハイライト
細胞生物学:オートファジーによる幹細胞性の維持
がん:外因性要因とがんリスク
分子生物学:転写終結の制御
宇宙物理学:ブラックホールに由来する可視光での激しい変動
化学:一酸化炭素の還元を目的とした設計
古生態学:人類の生態学的痕跡
神経科学:シナプス促通に必要なシナプトタグミン7
加齢:年を取っても衰えない
ウイルス学:インフルエンザウイルスの宿主制限に関わる因子
免疫学:広範囲反応性の抗マラリア抗体
がん:IDHに変異のあるグリオーマの性質を調べる