Nature ハイライト
がん:IDHに変異のあるグリオーマの性質を調べる
Nature 529, 7584
がんゲノムの塩基配列解読研究によって、脳腫瘍などのがんでIDH遺伝子に頻発している変異が見つかった。このIDH変異が生じているグリオーマ(神経膠腫)では、プロモーター領域のCpGアイランドの高メチル化など、DNAメチル化の全体的状況が変化している。B Bernsteinたちは今回、グリオーマで生じているIDH1変異の影響はCpGアイランドに限られたものではなく、メチル化感受性のインスレーターCTCFの結合部位も高メチル化されていることを明らかにした。グリオーマのがん遺伝子PDGFRAの近くでCTCF境界が破壊されると、この遺伝子に構成性エンハンサーが異常接触して活性化するようになる。従って、IDH変異は、染色体のトポロジーを破壊して異常な遺伝子調節作用が起こるように働き、グリオーマの発生を促進する可能性がある。
2016年1月7日号の Nature ハイライト
細胞生物学:オートファジーによる幹細胞性の維持
がん:外因性要因とがんリスク
分子生物学:転写終結の制御
宇宙物理学:ブラックホールに由来する可視光での激しい変動
化学:一酸化炭素の還元を目的とした設計
古生態学:人類の生態学的痕跡
神経科学:シナプス促通に必要なシナプトタグミン7
加齢:年を取っても衰えない
ウイルス学:インフルエンザウイルスの宿主制限に関わる因子
免疫学:広範囲反応性の抗マラリア抗体
がん:IDHに変異のあるグリオーマの性質を調べる