Nature ハイライト
免疫学:広範囲反応性の抗マラリア抗体
Nature 529, 7584
今回、ケニアのキリフィ県でマラリアが風土病となっている地域の住民2人から単離されたモノクローナル抗体群が、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の抗原に対して広範囲反応性を示すことが報告された。この抗体群は、第19染色体にコードされる免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー抑制性受容体の1つであるLAIR1に由来するIg様ドメインの大きな挿入があるという珍しい特徴を持っている。これらの抗体は、マラリア原虫の表面にある多型性の表面抗原に結合し、この結合は挿入部分に生じた変異に依存して起こる。これらの知見は、抗体多様化のこれまで知られていなかった機序を解明したのに加えて、マラリアワクチン開発の際の適切な標的候補となる可能性のある保存されたエピトープの存在を明らかにしている。
2016年1月7日号の Nature ハイライト
細胞生物学:オートファジーによる幹細胞性の維持
がん:外因性要因とがんリスク
分子生物学:転写終結の制御
宇宙物理学:ブラックホールに由来する可視光での激しい変動
化学:一酸化炭素の還元を目的とした設計
古生態学:人類の生態学的痕跡
神経科学:シナプス促通に必要なシナプトタグミン7
加齢:年を取っても衰えない
ウイルス学:インフルエンザウイルスの宿主制限に関わる因子
免疫学:広範囲反応性の抗マラリア抗体
がん:IDHに変異のあるグリオーマの性質を調べる