Nature ハイライト
化学:一酸化炭素の還元を目的とした設計
Nature 529, 7584
化石燃料の燃焼やガス化によって、酸化炭素ガス(CO2とCO)が生成される。こうした酸化炭素ガスを効率よく合成液体燃料に変換できれば、化石燃料使用に起因する問題の多くを軽減できるかもしれない。多くの触媒がCO2をCOに還元できるが、さらに還元して液体燃料化学物質を得ることは困難であり、機構的理解が不十分なため、そうした変換の開発は妨げられている。今回J BussとT Agapieは、安価で豊富な遷移金属であるモリブデンを利用して、C–O結合を開裂させ、C–C結合を形成し、生成されたC2O1フラグメントを解離できる系について報告している。この複雑な変換は、電子貯蔵庫として働き反応中間体を安定化させるテルフェニルジホスフィン配位子によって可能になった。同様の設計要素が、COを燃料化学物質に変換する触媒の開発に役立つ可能性がある。
2016年1月7日号の Nature ハイライト
細胞生物学:オートファジーによる幹細胞性の維持
がん:外因性要因とがんリスク
分子生物学:転写終結の制御
宇宙物理学:ブラックホールに由来する可視光での激しい変動
化学:一酸化炭素の還元を目的とした設計
古生態学:人類の生態学的痕跡
神経科学:シナプス促通に必要なシナプトタグミン7
加齢:年を取っても衰えない
ウイルス学:インフルエンザウイルスの宿主制限に関わる因子
免疫学:広範囲反応性の抗マラリア抗体
がん:IDHに変異のあるグリオーマの性質を調べる