Nature ハイライト

構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態

Nature 530, 7588

タンパク質α-シヌクレインが形成するアミロイド凝集体はパーキンソン病と関連付けられている。単離されたα-シヌクレインはin vitroでは無秩序な構造を採っているが、in vivoの生理的条件下にある場合については、無秩序な単量体から折りたたまれたらせん状の四量体まで、さまざまコンホメーションが考えられている。今回P Selenkoたちは、原子レベルの分解能のインセル核磁気共鳴(NMR)と電子常磁性共鳴(EPR)という分光法を用いて、神経細胞などの検討した全ての哺乳類細胞中で、α-シヌクレインは無秩序状態を維持していることを示し、このタンパク質の細胞質と動的に相互作用する部分、また細胞質から遮蔽されている部分を突き止めて、これらの部分によって生理的条件下では凝集体形成が防がれていることを明らかにした。またこの研究では、哺乳類細胞内のタンパク質に対して初めて使われた複数の実験方法が示されている。

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