Nature ハイライト
構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態
Nature 530, 7588
タンパク質α-シヌクレインが形成するアミロイド凝集体はパーキンソン病と関連付けられている。単離されたα-シヌクレインはin vitroでは無秩序な構造を採っているが、in vivoの生理的条件下にある場合については、無秩序な単量体から折りたたまれたらせん状の四量体まで、さまざまコンホメーションが考えられている。今回P Selenkoたちは、原子レベルの分解能のインセル核磁気共鳴(NMR)と電子常磁性共鳴(EPR)という分光法を用いて、神経細胞などの検討した全ての哺乳類細胞中で、α-シヌクレインは無秩序状態を維持していることを示し、このタンパク質の細胞質と動的に相互作用する部分、また細胞質から遮蔽されている部分を突き止めて、これらの部分によって生理的条件下では凝集体形成が防がれていることを明らかにした。またこの研究では、哺乳類細胞内のタンパク質に対して初めて使われた複数の実験方法が示されている。
2016年2月4日号の Nature ハイライト
構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態
ウイルス学:薬物療法の間のHIV-1の存続
がんゲノミクス:髄芽腫のエピゲノミクス
光物理学:束縛電子のサブフェムト秒制御
電気化学:光電気化学的水分解の効率向上に向けて
固体地球科学:ローソン石が不安定断層すべりのきっかけとなるか?
分類学:珍渦虫類の謎を解く
神経科学:神経発達障害のモデル
複雑ネットワーク:老化の秘密は時間の尺度にあり
ウイルス学:アデノ随伴ウイルス感染に欠かせない受容体