Nature ハイライト
ウイルス学:薬物療法の間のHIV-1の存続
Nature 530, 7588
HIV-1感染時の複数の抗レトロウイルス薬の併用は、ウイルス複製を低下させ、血中ウイルスRNAを検出不可能なレベルにまで下げることが可能だが、治療によってリンパ組織のリザーバー内でのウイルス複製が完全に抑制されるかどうかは明らかになっていない。S Wolinskyたちが今回、薬物療法を受けている3人のHIV-1感染者に由来するリンパ組織中のウイルス塩基配列を調べたところ、ウイルス複製が進行中であることを示す系統発生学的証拠が見つかった。このことからすると、リンパ組織内での抗レトロウイルス薬の濃度は、ウイルスを完全に抑制するには不十分であると考えられる。彼らは、数理モデルを使って、薬剤濃度がウイルス複製を完全に阻害するには不十分な条件下でも、薬剤耐性は必ずしも生じないことの理由を説明している。
2016年2月4日号の Nature ハイライト
構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態
ウイルス学:薬物療法の間のHIV-1の存続
がんゲノミクス:髄芽腫のエピゲノミクス
光物理学:束縛電子のサブフェムト秒制御
電気化学:光電気化学的水分解の効率向上に向けて
固体地球科学:ローソン石が不安定断層すべりのきっかけとなるか?
分類学:珍渦虫類の謎を解く
神経科学:神経発達障害のモデル
複雑ネットワーク:老化の秘密は時間の尺度にあり
ウイルス学:アデノ随伴ウイルス感染に欠かせない受容体