Nature ハイライト
固体地球科学:ローソン石が不安定断層すべりのきっかけとなるか?
Nature 530, 7588
今回、米国ブラウン大学の岡﨑啓史とG Hirthは、冷たい沈み込み帯におけるやや深発地震の原因を説明できる可能性がある不安定断層すべりが、ケイ酸塩鉱物であるローソン石の脱水反応によって生じるかを調べることを目的とした、ローソン石の変形と音響放射の測定結果を報告している。その結果は、脱水反応しているローソン石で不安定断層すべり(すなわち固着すべり)が実際に起こることを示している。音響放射信号は連続的に観測され、天然のローソン石層内で不安定摩擦すべりが起こる可能性があることを示唆している。こうしたふるまいは、蛇紋岩鉱物であるアンチゴライトに対する同様な実験での結果とは全く対照的で、アンチゴライトでは、同様な条件下での脱水反応の際に、安定したすべり、すなわちゆっくりしたすべりが見られ、音響放射は観測されていない。今回の結果は、ローソン石は、不安定断層すべりを生じさせる脆性変形を高温高圧下で示す数少ない鉱物の1つであることを立証している。
2016年2月4日号の Nature ハイライト
構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態
ウイルス学:薬物療法の間のHIV-1の存続
がんゲノミクス:髄芽腫のエピゲノミクス
光物理学:束縛電子のサブフェムト秒制御
電気化学:光電気化学的水分解の効率向上に向けて
固体地球科学:ローソン石が不安定断層すべりのきっかけとなるか?
分類学:珍渦虫類の謎を解く
神経科学:神経発達障害のモデル
複雑ネットワーク:老化の秘密は時間の尺度にあり
ウイルス学:アデノ随伴ウイルス感染に欠かせない受容体