Nature ハイライト
複雑ネットワーク:老化の秘密は時間の尺度にあり
Nature 530, 7588
今回、老化研究でよく用いられているモデル動物である線虫の一種Caenorhabditis elegansでの研究で、インスリン/IGF-1シグナル伝達経路の変異、周辺温度や化学的に誘導された酸化ストレスの変化など、多様な介入の生じた寿命の分布は全て、時間軸の尺度を変えることで普遍的曲線に単純に重ね合わせられることが分かった。この「時間尺度の変化(temporal scaling)」という現象から、新たな状態変数r(t)が明らかになった。この変数は死のリスクを左右し、その平均の減衰の動態に関与するのは、単一の有効老化速度定数krである。時間尺度の変化を生み出す介入は、krを変化させるだけで寿命に影響を及ぼす。
2016年2月4日号の Nature ハイライト
構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態
ウイルス学:薬物療法の間のHIV-1の存続
がんゲノミクス:髄芽腫のエピゲノミクス
光物理学:束縛電子のサブフェムト秒制御
電気化学:光電気化学的水分解の効率向上に向けて
固体地球科学:ローソン石が不安定断層すべりのきっかけとなるか?
分類学:珍渦虫類の謎を解く
神経科学:神経発達障害のモデル
複雑ネットワーク:老化の秘密は時間の尺度にあり
ウイルス学:アデノ随伴ウイルス感染に欠かせない受容体