Nature ハイライト
光物理学:束縛電子のサブフェムト秒制御
Nature 530, 7588
光の電磁気力によって物質を制御するときの基本的な速度限界は、束縛電子が応答するのにかかる時間によって決まる。この応答は瞬時に起こらないことが実験によって示されているが、十分速いプローブがなかったために、直接測定することはこれまでできなかった。E Goulielmakisたちは今回、可視光と可視光近傍のスペクトル領域にあり、エネルギーの大部分が半波長サイクルに閉じ込められた強い光パルスを生成し、こうしたいわゆるアト秒光パルスによってクリプトン原子中の束縛電子のダイナミクスを制御し測定できることを示している。原理実証のための測定の結果から、アト秒光パルスは、原子、分子、固体中の束縛電子を調べ操作するのに有用であることが立証され、サブフェムト秒の時間スケールとペタヘルツの速度で動作する、光に基づく非線形フォトニクスで使用できる可能性もあることが示唆される。
2016年2月4日号の Nature ハイライト
構造生物学:α-シヌクレインにとっての普通は無秩序状態
ウイルス学:薬物療法の間のHIV-1の存続
がんゲノミクス:髄芽腫のエピゲノミクス
光物理学:束縛電子のサブフェムト秒制御
電気化学:光電気化学的水分解の効率向上に向けて
固体地球科学:ローソン石が不安定断層すべりのきっかけとなるか?
分類学:珍渦虫類の謎を解く
神経科学:神経発達障害のモデル
複雑ネットワーク:老化の秘密は時間の尺度にあり
ウイルス学:アデノ随伴ウイルス感染に欠かせない受容体