Nature ハイライト
Cover Story:海がもたらした大きな変化:海に戻った被子植物に起こった重要な適応を明らかにする海草ゲノム
Nature 530, 7590
表紙写真は、破壊された海草藻場の縁辺。炭素を隔離し、海底を安定化し、地球上で最も生産力が高く、生物学的に最も多様な生態系の1つの基盤を支えている海草の根茎や根が露出してしまった様子を示している。撮影地は、フィンランド南西の多島海域、Kolaviken近くである。海草のアマモ(Zostera marina)は北半球全体にわたって広く分布しているため、生態学的にかなり重要だが、その沿岸部の生息地は、他の海草と同様に、世界で最も脅威にさらされている生態系に含まれている。今回J Olsenたちは、アマモの全ゲノム塩基配列解読結果を報告している。彼らの解析は、この被子植物系統で起こった「海へ戻る」という逆進化の軌跡に関連した進化的変化についての手掛かりを与えるもので、その中には気孔関連遺伝子一式の喪失や、植物よりは大型藻類により近い硫酸化された細胞壁多糖の存在などが含まれている。
2016年2月18日号の Nature ハイライト
神経科学:ため息中枢ニューロンの発見
構造生物学:酵母U4/U6.U5 tri-snRNPの構造
量子物理学:新しい量子情報アーキテクチャー
気候科学:氷流と氷床の安定性
人類学:安定性をもたらす力としての人の道を説く神
進化遺伝学:進化上の変化を追跡する
幹細胞:腸陰窩でのWntシグナル伝達
発生生物学:幹細胞の性
免疫学:血液と脳の間でのT細胞のやりとり
免疫学:NEK7はNLRP3インフラマソームの活性化を仲介する
構造生物学:レトロウイルス八量体インテグラーゼの構造