Nature ハイライト

構造生物学:レトロウイルス八量体インテグラーゼの構造

Nature 530, 7590

逆転写によって生じたウイルスDNAの宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウイルスの生活環中の不可欠な段階で、これを触媒するタンパク質がインテグラーゼである。今回、相原秀樹(米国ミネソタ大学)たちの研究チームとA Engelmanの研究チームがそれぞれ、ラウス肉腫ウイルスとマウス乳がんウイルスのインタソーム(インテグラーゼとウイルスDNA、標的DNAを含む複合体)の構造を結晶解析と低温電子顕微鏡を用いて決定した。インテグラーゼは、以前に報告されたような四量体ではなく、八量体構造であることが分かった。一対のコアインテグラーゼ二量体がウイルスDNAの両末端に結合して触媒として働き、触媒として働かないもう一対のインテグラーゼ二量体が、2個のウイルスDNA分子の間を架橋して標的DNAを捕捉するのを助けている。側面に位置する予想外の構造を採っているフランキングインテグラーゼ二量体対は、標的の捕捉とDNA鎖の移動に必要とされる。

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