Nature ハイライト
構造生物学:レトロウイルス八量体インテグラーゼの構造
Nature 530, 7590
逆転写によって生じたウイルスDNAの宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウイルスの生活環中の不可欠な段階で、これを触媒するタンパク質がインテグラーゼである。今回、相原秀樹(米国ミネソタ大学)たちの研究チームとA Engelmanの研究チームがそれぞれ、ラウス肉腫ウイルスとマウス乳がんウイルスのインタソーム(インテグラーゼとウイルスDNA、標的DNAを含む複合体)の構造を結晶解析と低温電子顕微鏡を用いて決定した。インテグラーゼは、以前に報告されたような四量体ではなく、八量体構造であることが分かった。一対のコアインテグラーゼ二量体がウイルスDNAの両末端に結合して触媒として働き、触媒として働かないもう一対のインテグラーゼ二量体が、2個のウイルスDNA分子の間を架橋して標的DNAを捕捉するのを助けている。側面に位置する予想外の構造を採っているフランキングインテグラーゼ二量体対は、標的の捕捉とDNA鎖の移動に必要とされる。
2016年2月18日号の Nature ハイライト
神経科学:ため息中枢ニューロンの発見
構造生物学:酵母U4/U6.U5 tri-snRNPの構造
量子物理学:新しい量子情報アーキテクチャー
気候科学:氷流と氷床の安定性
人類学:安定性をもたらす力としての人の道を説く神
進化遺伝学:進化上の変化を追跡する
幹細胞:腸陰窩でのWntシグナル伝達
発生生物学:幹細胞の性
免疫学:血液と脳の間でのT細胞のやりとり
免疫学:NEK7はNLRP3インフラマソームの活性化を仲介する
構造生物学:レトロウイルス八量体インテグラーゼの構造