Nature ハイライト
エピジェネティクス:MLL酵素群の活性化機構
Nature 530, 7591
SETドメインを持つMLLファミリーのタンパク質は、ヒストン3のリシン4(H3K4)をメチル化し、転写調節に重要な役割を担っている。MLLタンパク質は単独では触媒活性を示さず、WDR5、RBBP5、ASH2Lという3つの因子と複合体を形成した時にだけ完全な触媒活性を示す。Y Chenたちは今回、MLL3と変異型MLL1について、因子を結合していない状態とRBBP5、ASH2LおよびヒストンH3基質と複合体を形成している状態でのSETドメインの結晶構造を決定した。今回の結果から、WDR5は酵素活性化に直接的には関与していないことが示唆され、さらに構造的、生化学的、計算論的解析を組み合わせて、あらゆるヒストンメチルトランスフェラーゼに対して当てはまると思われる2段階型の活性化機構が明らかになった。
2016年2月25日号の Nature ハイライト
進化遺伝学:現生人類とネアンデルタール人の間の初期の遺伝子交換
免疫学:T細胞を動員して自己免疫を軽減する
エピジェネティクス:RNAのm1A修飾
エピジェネティクス:MLL酵素群の活性化機構
宇宙論:位置が特定された高速電波バースト
無機化学:鉄触媒を用いた水の酸化
生物地球科学:長期にわたる海洋の炭素シンク
社会進化:罰を与えることは信頼性の印となる
古生物学:ヒト族の歯のサイズの進化
がんの代謝:アミノ酸除去でがんと闘う