Nature ハイライト
がんの代謝:アミノ酸除去でがんと闘う
Nature 530, 7591
腫瘍は増殖のために特定のアミノ酸を必要とすることがある。R Agamiたちは、そのような制限アミノ酸を明らかにするために、diricoreと名付けられたリボソームプロファイリングをベースとする方法を開発し、タンパク質合成に必要な特定のアミノ酸の利用可能性を評価した。この方法を腎臓がん組織に用いると、プロリンの欠乏とプロリン合成に必要な酵素PYRC1の発現上昇の間に関連があることが観察された。また、diricoreを乳がん細胞に適用した場合にも、プロリンの欠乏が明らかになった。増殖が制限される条件では、PYRC1が腫瘍発生性の増殖を維持するのに必要であった。これらの結果は、重要な代謝経路を標的とする治療に用いることのできる、重要なアミノ酸脆弱性を明らかにするための手法を示している。
2016年2月25日号の Nature ハイライト
進化遺伝学:現生人類とネアンデルタール人の間の初期の遺伝子交換
免疫学:T細胞を動員して自己免疫を軽減する
エピジェネティクス:RNAのm1A修飾
エピジェネティクス:MLL酵素群の活性化機構
宇宙論:位置が特定された高速電波バースト
無機化学:鉄触媒を用いた水の酸化
生物地球科学:長期にわたる海洋の炭素シンク
社会進化:罰を与えることは信頼性の印となる
古生物学:ヒト族の歯のサイズの進化
がんの代謝:アミノ酸除去でがんと闘う