Nature ハイライト
古生物学:ヒト族の歯のサイズの進化
Nature 530, 7591
人類進化の特徴の1つに歯のサイズの全体的な縮小があることは、約80年前に認識されていた。これについては食餌の変化や調理技能の獲得など、さまざまな説明付けがなされてきたが、この傾向の根底にある発生的基盤は不明であった。今回A Evansたちは、過去700万年にわたる化石ヒト族および大型類人猿の標本で歯のサイズを調べ、哺乳類の相対的な歯のサイズに影響を与える活性化因子–抑制因子機構である「抑制性カスケード」が、下顎の犬歯より後方の全ての第一生歯に関して歯のサイズの標準パターンを形成することを見いだした。このモデルを用いることで、ヒト族の歯のサイズ比と絶対的サイズとの密接な関連性が明らかになった。これにより、犬歯より後方の第一生歯では、1本の歯の位置とサイズから同じ歯列にある残り4本の歯のサイズを予測することができる。
2016年2月25日号の Nature ハイライト
進化遺伝学:現生人類とネアンデルタール人の間の初期の遺伝子交換
免疫学:T細胞を動員して自己免疫を軽減する
エピジェネティクス:RNAのm1A修飾
エピジェネティクス:MLL酵素群の活性化機構
宇宙論:位置が特定された高速電波バースト
無機化学:鉄触媒を用いた水の酸化
生物地球科学:長期にわたる海洋の炭素シンク
社会進化:罰を与えることは信頼性の印となる
古生物学:ヒト族の歯のサイズの進化
がんの代謝:アミノ酸除去でがんと闘う