Nature ハイライト
量子物理学:フェムト秒光パルスを使った準粒子衝突型加速器
Nature 533, 7602
大型ハドロン衝突型加速器で行われるような高エネルギー衝突実験は、素粒子についての理解を深めるのに不可欠である。固体では、大きな相互作用によって、励起子(電子–正孔対)、クーパー対、ポーラロンなど、準粒子と呼ばれる新種の素励起が生じる。今回R Huberたちは、超高速光パルスを使って、層状のダイカルコゲナイドである二セレン化タングステンに励起子を生成し、強いテラヘルツ場を使って、電子を加速して正孔と衝突させる準粒子衝突型加速器を開発した。著者たちは、生成された高次側波帯放射によって、衝突する波束を追跡できた。この方法は、スピントロニクス、超伝導、光起電力技術などの分野における準粒子のダイナミクスの役割を調べる新たな道を開く可能性がある。
2016年5月12日号の Nature ハイライト
気候科学:モンスーン変動の起源
ゲノム進化:サケ科ゲノムの進化を探る手掛かり
神経科学:性特異的に再結合する神経ネットワーク
量子物理学:フェムト秒光パルスを使った準粒子衝突型加速器
有機化学:活性化されていないC–H結合の官能基化
大気科学:始生代の上層大気
生物地理学:新世界ザルの初期の移動
神経科学:四肢麻痺における筋応答の部分的回復
人体発生学:ヒト初期胚モデル
微生物学:腸内微生物の間に見られる協力関係
構造生物学:アデノシンA2A受容体の活性化