Nature ハイライト
有機化学:活性化されていないC–H結合の官能基化
Nature 533, 7602
従来、有機合成は、炭素–酸素結合や炭素–ハロゲン結合などの官能基の導入と操作に大きく依存してきた。現在の多くの研究では、有望で有力な代替戦略に重点が置かれており、それは、通常はるかに反応性が低いため官能基化しにくい炭素–水素結合を何らかの方法で修飾しやすくしようとするものである。今回、特定の触媒を用いて部位選択性を制御することによって、分子内に配向基やアンカー基を存在させなくても、活性化されていないC–H結合を選択的に官能基化できることが報告されている。著者たちは、二ロジウム触媒を用いて、n-アルカンや末端置換n-アルキル化合物のジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的なC–H官能基化を行った。この反応は、高い収率で進行し、ハロゲン化物やシランやエステルなどの他の官能基を持つ基質でも行うことができる。
2016年5月12日号の Nature ハイライト
気候科学:モンスーン変動の起源
ゲノム進化:サケ科ゲノムの進化を探る手掛かり
神経科学:性特異的に再結合する神経ネットワーク
量子物理学:フェムト秒光パルスを使った準粒子衝突型加速器
有機化学:活性化されていないC–H結合の官能基化
大気科学:始生代の上層大気
生物地理学:新世界ザルの初期の移動
神経科学:四肢麻痺における筋応答の部分的回復
人体発生学:ヒト初期胚モデル
微生物学:腸内微生物の間に見られる協力関係
構造生物学:アデノシンA2A受容体の活性化