Nature ハイライト
構造生物学:アデノシンA2A受容体の活性化
Nature 533, 7602
アデノシンA2A受容体はクラスAのGタンパク質共役受容体で、多数の病気の薬剤標的として重要である。今回S Prosserたちは、19F NMRを用いてアデノシンA2A受容体の動態を調べ、この受容体が、4種類の状態(2つは不活性で他の2つは活性)が平衡状態にあるアンサンブルとして存在していることを見いだした。インバースアゴニストを加えると不活性状態をとる受容体の数が増える。完全アゴニストを加えると活性状態の1つが安定化されるが、部分アゴニスト、あるいはアロステリック修飾因子を加えると、もう1種類の活性状態をとるものだけが増える。これらの知見は、受容体の部分的活性化と完全な活性化の両方が、異なる活性化状態に当たるコンホメーションの選択によって生じることを示している。
2016年5月12日号の Nature ハイライト
気候科学:モンスーン変動の起源
ゲノム進化:サケ科ゲノムの進化を探る手掛かり
神経科学:性特異的に再結合する神経ネットワーク
量子物理学:フェムト秒光パルスを使った準粒子衝突型加速器
有機化学:活性化されていないC–H結合の官能基化
大気科学:始生代の上層大気
生物地理学:新世界ザルの初期の移動
神経科学:四肢麻痺における筋応答の部分的回復
人体発生学:ヒト初期胚モデル
微生物学:腸内微生物の間に見られる協力関係
構造生物学:アデノシンA2A受容体の活性化