Nature ハイライト
Cover Story:さらにややこしくなった複合疾患:食餌–微生物相–脳–β細胞の間の相互作用が肥満とメタボリックシンドロームを後押し
Nature 534, 7606
表紙は糞便中に含まれる細菌の走査型電子顕微鏡像。腸内微生物相の変化、ひいては糞便中の短鎖脂肪酸濃度の変化は、肥満やインスリン抵抗性、メタボリックシンドロームと関連付けられているが、これらの間の因果関係についてはまだ解明されていない。今回G Shulmanたちは、高脂肪食を与えた齧歯類では腸内微生物相と栄養の相互作用によって酢酸産生が増加することを明らかにした。これが神経系の一部で心拍数や消化などの「無意識」の働きを制御する副交感神経系の活性化につながり、次いでグルコース誘導性のインスリン分泌、グレリン分泌や過食、肥満を増進させるらしい。
2016年6月9日号の Nature ハイライト
微生物群集:実験計画法とマイクロバイオーム
集団遺伝学:後期旧石器時代のユーラシア人
神経科学:脅威への反応を選択する脳の回路
ナノテクノロジー:環状の軌道を動くナノマシン
地球化学:下部マントルのさびの分解
古人類学:フローレス原人の第2の遺跡
微生物群集:ヒトマイクロバイオームの動態
医学研究:ブラジルのジカウイルスはマウスで先天異常を引き起こす
がん治療:腫瘍耐性を阻止する二価のmTOR阻害剤
構造生物学:0.48 Å分解能で得られた金属タンパク質の構造