Nature ハイライト
構造生物学:0.48 Å分解能で得られた金属タンパク質の構造
Nature 534, 7606
タンパク質の高分解能X線結晶構造は、研究成果として大々的に取り上げられることが多いが、それらの構造の分解能が3.0~1.5 Åより高いことはまれである。今回、好熱性紅色光合成細菌のThermochromatium tepidumに由来する電子伝達体である高電位鉄–硫黄タンパク質(HiPIP)の分解能0.48 Åでの構造が報告された。これは、今までに報告されたタンパク質のX線結晶構造の中で分解能が最も高いものの1つである。この金属タンパク質の超高分解能構造により、その中心にある鉄–硫黄クラスターの電荷密度解析を行うことが可能になり、Fe4S4クラスター中の鉄原子と硫黄原子周辺の価電子の分布を可視化できた。この結果は、金属タンパク質の構造と機能の関係をサブ原子レベルで解明するのに役立つだろう。
2016年6月9日号の Nature ハイライト
微生物群集:実験計画法とマイクロバイオーム
集団遺伝学:後期旧石器時代のユーラシア人
神経科学:脅威への反応を選択する脳の回路
ナノテクノロジー:環状の軌道を動くナノマシン
地球化学:下部マントルのさびの分解
古人類学:フローレス原人の第2の遺跡
微生物群集:ヒトマイクロバイオームの動態
医学研究:ブラジルのジカウイルスはマウスで先天異常を引き起こす
がん治療:腫瘍耐性を阻止する二価のmTOR阻害剤
構造生物学:0.48 Å分解能で得られた金属タンパク質の構造