Nature ハイライト
ナノテクノロジー:環状の軌道を動くナノマシン
Nature 534, 7606
分子モーターは、まず、分子スケールで支配的な力となるブラウン運動に打ち勝つ運動を発生させなければならず、方向制御の手段として角運動量を利用できない。D Leighたちは、こうした制約があるにもかかわらず、1種類の化学燃料を消費して分子マシンを動かすシステムを開発した。この分子マシンは、燃料が存在するかぎり回転運動を続ける分子モーターであり、さらなる化学物質の投入や外部刺激を必要としない。このモーターは、連結した2つの分子の輪で構成されており、化学燃料の不可逆反応によって動力を得ると、小さな輪(マクロ環)が大きな輪(環状分子の軌道)の周りを一方向に連続的に輸送される。軌道に付加される化学燃料の反応速度がマクロ環の位置によって異なり、この非対称性から方向性のある運動が実現されるため、マクロ環は、元の反応点に向かって逆戻りすることなく、同じ方向に回り続ける。
2016年6月9日号の Nature ハイライト
微生物群集:実験計画法とマイクロバイオーム
集団遺伝学:後期旧石器時代のユーラシア人
神経科学:脅威への反応を選択する脳の回路
ナノテクノロジー:環状の軌道を動くナノマシン
地球化学:下部マントルのさびの分解
古人類学:フローレス原人の第2の遺跡
微生物群集:ヒトマイクロバイオームの動態
医学研究:ブラジルのジカウイルスはマウスで先天異常を引き起こす
がん治療:腫瘍耐性を阻止する二価のmTOR阻害剤
構造生物学:0.48 Å分解能で得られた金属タンパク質の構造