Nature ハイライト

地球化学:下部マントルのさびの分解

Nature 534, 7606

第一原理計算と直接実験を用いて、地球深部の下部マントルに相当する圧力温度で極めて安定な黄鉄鉱構造の鉄酸化物が同定された。H Maoたちは、自然には「さび」として広く存在し、沼鉄鉱として大量に見られる鉱物である針鉄鉱(FeOOH)は、そうした圧力温度条件下では分解してFeO2を形成し、H2を放出することを示している。この反応の結果、下部マントル深部でのFeO2を含む重い断片の蓄積、水素の上方移動、酸素循環と水素の循環の分離が生じる可能性がある。著者たちは、この過程から、現在の酸素に富む大気を生成した20億年以上前の大酸化事変に対する突発的な酸素供給源だけでなく、深部の下部マントルにおける地震波異常や地球化学的異常の起源に対する別の解釈が得られると結論付けている。

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