Nature ハイライト
細胞生物学:染色体歩行を用いた染色体トポロジーの決定
Nature 540, 7632
染色体は、コンパクトな構造を保ちながら、DNAへのアクセスも調節するために、核内では効率よく折りたたまれていなくてはならない。3C(chromosome conformation capture)法は染色体構造を調べるために用いる解析方法の1つで、ゲノム座位間の空間的に近接した2か所をペアとして検出できる。今回A Tanayたちは、染色体歩行(C-walk)を用いる3C塩基配列解読法を開発し、多数のゲノム座位をまとめて、空間的に近傍にある鎖に関連付けた。著者たちは、哺乳類細胞にこの技術を適用して、染色体テリトリーやトポロジカルドメイン(TAD;topologically associated domain)が、入れ子になった階層的な折りたたみ構造の一部であることを示し、また活性な遺伝子と不活性な遺伝子の周囲の染色体コンホメーションの特徴を明らかにした。これらの知見は、染色体の高次構造がゲノム調節に関与する仕組みについての我々の理解を深めるのに役立つ。
2016年12月8日号の Nature ハイライト
神経科学:ガンマリズムの乱れとアルツハイマー病の病理
免疫学:S-2-ヒドロキシグルタル酸による幅広い免疫刺激
分子生物学:m6Aは神経活動を調節する
宇宙論:静穏な状態にある星形成銀河
テクトニクス:大洋中央海嶺におけるテクトニック応力
生物多様性:土地利用の強化と生物多様性
生物医学:新しいミトコンドリア置換技術
微生物学:治療薬になる可能性が見えてきた抗菌物質ミクロシン
微生物学:mavirusプロヴィロファージは宿主の原生生物を防御する
タンパク質設計:ウイルスに似た薬物送達システム
細胞生物学:染色体歩行を用いた染色体トポロジーの決定