Nature ハイライト
微生物学:治療薬になる可能性が見えてきた抗菌物質ミクロシン
Nature 540, 7632
ミクロシンは比較的少数のペプチドからなる小型の分泌タンパク質で、一部の片利共生腸内細菌によって分泌される。ミクロシンは、in vitroでは抗微生物活性を示すことが知られているが、in vivoでの役割は不明であった。今回、腸管が炎症を起こすと、プロバイオティックな働き(ヒトに有益な影響をもたらす)をする大腸菌(Escherichia coli)の一種がミクロシンの発現によって、競合する腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の細菌の増殖を抑制できるようになることが明らかにされた。マウスでは、ミクロシン産生細菌を治療目的で投与すると、病原性細菌の腸管定着が大幅に抑制された。この結果は、ミクロシンが種間および種内の競争を仲介すること、また腸内の病原体を阻害して腸内細菌科菌の爆発的増殖を抑制する狭域治療薬として有用と考えられることを示す最初の証拠である。
2016年12月8日号の Nature ハイライト
神経科学:ガンマリズムの乱れとアルツハイマー病の病理
免疫学:S-2-ヒドロキシグルタル酸による幅広い免疫刺激
分子生物学:m6Aは神経活動を調節する
宇宙論:静穏な状態にある星形成銀河
テクトニクス:大洋中央海嶺におけるテクトニック応力
生物多様性:土地利用の強化と生物多様性
生物医学:新しいミトコンドリア置換技術
微生物学:治療薬になる可能性が見えてきた抗菌物質ミクロシン
微生物学:mavirusプロヴィロファージは宿主の原生生物を防御する
タンパク質設計:ウイルスに似た薬物送達システム
細胞生物学:染色体歩行を用いた染色体トポロジーの決定