Nature ハイライト
物理学:細菌の集団振動
Nature 542, 7640
近年、自己推進粒子を多数含む「アクティブマター」系において、集団挙動のさまざまな効果が報告されている。そうした研究からは、さまざまなスケールで生体系における組織化を理解する手掛かりや、スマート材料の設計戦略のヒントが得られる。今回Y Wuたちは、大腸菌(Escherichia coli)の高濃度懸濁液を調べ、集団振動運動という注目すべき効果を観察した。すなわち、個々の細菌は不規則に動くが、数十または数百マイクロメートルにわたって平均すると、定常的な同期振動が明らかになる。著者たちは、完全に局所だけで相互作用をするノイズの多い自己推進粒子という、観察結果を説明可能なモデルを提示している。こうした振動挙動は、アクティブマターにおける自己組織化の研究に新しい方向を示す可能性がある。
2017年2月9日号の Nature ハイライト
遺伝学:希少な遺伝的バリアントを新たな高みに
幹細胞:キメラ膵島でマウスの糖尿病を抑える
分子生物学:Argonauteのリン酸化がマイクロRNAを調節する
天文学:中間質量ブラックホールの検出
物理学:細菌の集団振動
気候科学:海洋の鉛直循環が二酸化炭素の取り込みを制御する
生態学:植物群落の修復が花粉媒介を促進する
免疫学:シトクロムP4501はAHRリガンドを調節する
細胞生物学:Sasとその受容体は抗がん応答を引き起こす
細胞生物学:ペルオキシソームの形成にはミトコンドリアが役割を果たしている
生化学:セキュリンによるセパラーゼの阻害