Nature ハイライト
生理学:骨による食欲調節
Nature 543, 7645
骨は腎機能やグルコースの恒常性を調節するホルモンを分泌する、多機能の内分泌器官と考えられている。今回S Kousteniたちは、骨芽細胞から分泌されるタンパク質であるリポカリン2(LCN2)が、インスリン分泌を誘導し、耐糖能とインスリン感受性を向上することでグルコース恒常性を維持することを見いだしている。注目すべきことに、LCN2は血液脳関門を通過して、視床下部のニューロンでメラノコルチン4受容体(MC4R)に結合し、MC4R依存的な食欲抑制経路を活性化して食欲を抑制する。著者たちは、LCN2は食物摂取を抑制することができる骨由来代謝調節ホルモンであると結論し、食欲は部分的に骨により制御されることを示唆している。
2017年3月16日号の Nature ハイライト
がん:子宮頸がんのゲノム・分子基盤
生理学:骨による食欲調節
神経生理学:軟骨魚類の電場感知
宇宙物理学:初期銀河の暗黒物質はそれほど多くなかった
応用物理学:チップ検査を3Dで
大気化学:バイオ燃料飛行の環境影響
幹細胞:代謝と腸の再生
がん:乳がん治療に抗腫瘍マクロファージを使う
細胞生物学:ストレスを受けたタンパク質はミトコンドリアに取り込まれる
分子生物学:秩序立った構造を持たないタンパク質スイッチが低酸素応答を停止させる