Nature ハイライト
細胞生物学:ストレスを受けたタンパク質はミトコンドリアに取り込まれる
Nature 543, 7645
老化や神経変性疾患に関連する細胞異常には、タンパク質凝集体の蓄積やミトコンドリアの機能不全などがある。疾患に関連するタンパク質はミトコンドリア内に見られることもあり、酵母では、老化やストレスによりタンパク質凝集体がミトコンドリアに繋留されることがある。R Liたちは今回、細胞の品質管理にミトコンドリアが関与しているという証拠を示している。凝集しやすい酵母タンパク質は、熱ショックストレスに曝露されると、ミトコンドリアへの移入装置との相互作用によって、細胞質からミトコンドリア内に移動することが分かった。この過程は、ストレスがなくても起こることがあり、これによって凝集しやすいタンパク質はミトコンドリアの膜間腔やマトリックス内に入ることができる。ミトコンドリアへの移入を阻害すると、細胞質でのタンパク質の分解が妨げられることから、ミトコンドリアへの移入は、分離したタンパク質を積極的に除去することで、分解を促進している可能性が考えられる。
2017年3月16日号の Nature ハイライト
がん:子宮頸がんのゲノム・分子基盤
生理学:骨による食欲調節
神経生理学:軟骨魚類の電場感知
宇宙物理学:初期銀河の暗黒物質はそれほど多くなかった
応用物理学:チップ検査を3Dで
大気化学:バイオ燃料飛行の環境影響
幹細胞:代謝と腸の再生
がん:乳がん治療に抗腫瘍マクロファージを使う
細胞生物学:ストレスを受けたタンパク質はミトコンドリアに取り込まれる
分子生物学:秩序立った構造を持たないタンパク質スイッチが低酸素応答を停止させる