Nature ハイライト
生化学:酵素の動態をFRETで見る
Nature 551, 7680
P型ATPアーゼは、陽イオンを濃度勾配に逆らって輸送することにより、細胞膜内外の電気化学ポテンシャルを維持している。例えば、筋小胞体や小胞体のCa2+-ATPアーゼ(SERCA)は、ATP加水分解によって駆動され、筋収縮などのCa2+シグナル伝達事象の後のカルシウム輸送を行う。今回、1分子蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法を用いて、P型Ca2+-ATPアーゼであるLMCA1の動態が可視化された。FRETを用いて反応サイクル中間体を観察するこの方法によって、P型ATPアーゼの輸送サイクルとコンホメーション動態について、構造的手法や集合体を対象にした場合には得られなかった、1分子レベルでの知見が得られた。
2017年11月16日号の Nature ハイライト
地球物理学:深部マントルの神秘
腫瘍免疫学:脂肪肝でのがんリスクの増大
生化学:酵素の動態をFRETで見る
惑星科学:冥王星はもやのため寒い
材料科学:これまでの考えとは異なる粉粒体の動き
生態学:保全のコスト
神経科学:移動運動速度の制御回路
微生物学:腸内の細菌が宿主防御を打ち破る
分子生物学:ユビキチンがDNAアルキル化の修復を推進する
構造生物学:エボラを入れる箱を組み立てる