Nature ハイライト
保全生物学:統治が湿地の生物多様性に及ぼす影響
Nature 553, 7687
湿地は、地球上でも特に生物多様性が豊かで生産力の高い生態系だが、極めて深刻な脅威にさらされてもいる。天野達也(英国ケンブリッジ大学)たちは今回、世界各地の2万5769地点で収集した調査データを用いて、水鳥461種の1990~2013年の個体数の変化と、そうした変化の駆動要因を調べた。その結果、群集レベルの個体数の減少は、西アジア、中央アジア、サハラ以南のアフリカ、南米などで最も大きいことが分かった。群集レベルの個体数変化の最も有力な予測因子は統治であり、統治の有効性が低い地域では個体数の減少がより急激だった。保護区に指定された湿地が広範に及ぶほど水鳥の個体数が増加していたが、この傾向は統治が有効な地域に限られていた。これらの知見は、生物多様性保全のための保護区の効果は、統治が有効な状況でしか得られないことを示唆している。
2018年1月11日号の Nature ハイライト
神経科学:無脊椎動物のニューロンの再配線
幹細胞:アセトアルデヒドが幹細胞のDNA損傷を引き起こす
天文学:2つの高赤方偏移銀河の回転
惑星科学:ガスによって新たな自転状態に入る彗星
材料科学:半導体の明るい未来
保全生物学:統治が湿地の生物多様性に及ぼす影響
微生物学:大腸の炎症に対抗
生物工学:遺伝性難聴を治療する
がん:融合遺伝子が腫瘍の代謝を促進する
分子生物学:LINE-1のサイレンシングの効果
構造生物学:カルシウムチャネルのこれまで知られていなかったゲート開口方式