Nature ハイライト
構造生物学:カルシウムチャネルのこれまで知られていなかったゲート開口方式
Nature 553, 7687
カルシウム(Ca)は生物学的に重要なシグナル伝達分子であり、その調節はヒトの生理学的性質で中心的な役割を担っている。TRPV6(transient receptor potential vanilloid subfamily member 6)チャネルは構成的に活性化されていて、Ca選択性が高く、上皮組織でのCa2+取り込みを仲介していて、その発現は複数のがんと関係がある。しかし、その構成的な活性化とイオン透過の構造基盤は明らかにされていなかった。今回A Sobolevskyたちは、クライオ(極低温)電子顕微鏡によって得られた、ヒトTRPV6の開状態と閉状態の両方の構造を報告している。これらのデータから、四量体イオンチャネルではこれまで知られていなかったゲート開閉機構が明らかになり、生理的状態と疾病状態でTRPV6が果たす役割に重要と考えられるアラニンヒンジが見つかった。
2018年1月11日号の Nature ハイライト
神経科学:無脊椎動物のニューロンの再配線
幹細胞:アセトアルデヒドが幹細胞のDNA損傷を引き起こす
天文学:2つの高赤方偏移銀河の回転
惑星科学:ガスによって新たな自転状態に入る彗星
材料科学:半導体の明るい未来
保全生物学:統治が湿地の生物多様性に及ぼす影響
微生物学:大腸の炎症に対抗
生物工学:遺伝性難聴を治療する
がん:融合遺伝子が腫瘍の代謝を促進する
分子生物学:LINE-1のサイレンシングの効果
構造生物学:カルシウムチャネルのこれまで知られていなかったゲート開口方式