Nature ハイライト
古気候学:淡水から見た氷期の海洋循環
Nature 559, 7713
淡水の急速な放出によって、海洋循環とより広範な気候パターンが乱される可能性がある。そうした事象は、ハインリッヒ亜氷期と呼ばれる北大西洋の著しい寒冷期などにおいて、大西洋に影響を及ぼした可能性がある。今回E Maierたちは、北大西洋が、コルディレラ氷床から北太平洋への淡水の放出のきっかけとなった可能性もあることを示している。海洋間結合(北大西洋の循環の弱化から始まる)には、赤道太平洋東部が異常に温暖で、北半球高緯度域が極端に寒冷でないことが必要である。気候のテレコネクションに矛盾が見られると思われる場合、ランダムに生じたものとして退けるのは簡単である。しかし今回の研究では、ある機構の出現が気候システムの全体的な状態にどのように依存しているか、そしてそれは、時にはテレコネクションを促進し、時には抑制する可能性があることの一例が示されている。
2018年7月12日号の Nature ハイライト
物性物理学:分数熱ホールコンダクタンスを観測
細胞生物学:溶解酵素のDYRK3は液相分離を解消させる
分子生物学:酵母ORC–DNA構造から得られた複製起点選択機構についての手掛かり
天文学:やはり彗星だったオウムアムア
物性物理学:マヨラナフェルミオンによるホール効果の量子化
材料科学:透過と遮断を切り替えられる酸化グラフェン膜を通る水輸送
古気候学:淡水から見た氷期の海洋循環
進化論:公共財ゲームで協力を最大にするには
公衆衛生:大気汚染がアフリカの乳児の死亡リスクを上昇させる
DNA損傷:複製フォークの速度がゲノム不安定性を引き起こす