Nature ハイライト
進化論:公共財ゲームで協力を最大にするには
Nature 559, 7713
ゲームに複数回のラウンドがあるモデルの多くでは、プレーヤーは各ラウンドで同じゲームを行う。しかし、現実の生活では、過去のラウンドの結果次第でプレーヤーが行動を変化させることが分かっており、それにはもちろん以前の競争についての記憶があるかないかが関わっている。加えて、プレーヤーは最も合理的な結果を選ぶだろうと一般に想定されており、人々が第一印象や評判などに基づいて意思決定を行う傾向があることが現在ではよく知られている。今回M Nowakたちは、公共財ゲームにおいてプレーヤーが協力すると分け前が増え協力しないと分け前が減るようにラウンド間で報酬が変化する場合、協力が進化しやすくなることを報告している。これは、環境の悪化のような事例に応用することができる。天然資源は生息地の破壊や密猟の結果として希少化するため、残りの資源の価値が上がり、それを保全しようとする人々の動機が高まるからである。
2018年7月12日号の Nature ハイライト
物性物理学:分数熱ホールコンダクタンスを観測
細胞生物学:溶解酵素のDYRK3は液相分離を解消させる
分子生物学:酵母ORC–DNA構造から得られた複製起点選択機構についての手掛かり
天文学:やはり彗星だったオウムアムア
物性物理学:マヨラナフェルミオンによるホール効果の量子化
材料科学:透過と遮断を切り替えられる酸化グラフェン膜を通る水輸送
古気候学:淡水から見た氷期の海洋循環
進化論:公共財ゲームで協力を最大にするには
公衆衛生:大気汚染がアフリカの乳児の死亡リスクを上昇させる
DNA損傷:複製フォークの速度がゲノム不安定性を引き起こす