Nature ハイライト
公衆衛生:大気汚染がアフリカの乳児の死亡リスクを上昇させる
Nature 559, 7713
劣悪な空気質は乳児の死亡率の重要なリスク因子であると考えられているが、大気中の粒子状物質への曝露の変化に伴い死亡リスクがどのように変化するかについての証拠は、特に低・中所得国では不完全である。今回M Burkeたちは、サハラ以南のアフリカ全域の100万件近くの出生について、その場所と時期に関する世帯調査に基づいた情報と、PM2.5濃度のリモートセンシングに基づいた見積もりとを統合することで、大気質がアフリカの乳児死亡率に及ぼす影響を推定している。その結果、PM2.5濃度の10 μg m−3の上昇が、乳児死亡率の9%(95%信頼区間:4~14%)の増加に関連することが見いだされた。この影響は過去15年間にわたって減少しておらず、世帯資産のレベルが高くても軽減しなかった。これらの知見は、大気汚染に起因する世界の乳児死亡についての現在の見積もりを増大させるものであり、アフリカの大気汚染をわずかに軽減させるだけでも乳児の健康を改善できるという政策的含意を明確に示している。
2018年7月12日号の Nature ハイライト
物性物理学:分数熱ホールコンダクタンスを観測
細胞生物学:溶解酵素のDYRK3は液相分離を解消させる
分子生物学:酵母ORC–DNA構造から得られた複製起点選択機構についての手掛かり
天文学:やはり彗星だったオウムアムア
物性物理学:マヨラナフェルミオンによるホール効果の量子化
材料科学:透過と遮断を切り替えられる酸化グラフェン膜を通る水輸送
古気候学:淡水から見た氷期の海洋循環
進化論:公共財ゲームで協力を最大にするには
公衆衛生:大気汚染がアフリカの乳児の死亡リスクを上昇させる
DNA損傷:複製フォークの速度がゲノム不安定性を引き起こす