Nature ハイライト
原子物理学:自己組織化臨界現象
Nature 577, 7791
平衡から外れたシナリオや、地震の可能性から森林火災の広がりまで、多様で複雑な動的現象の一般則が、自己組織化臨界現象によって説明される。この組織化原理によって、系は初期条件と無関係な定常状態に調整され、わずかな摂動だけで臨界応答が起こる。今回S Whitlockたちは、高励起リュードベリ状態にした極低温原子気体における自己組織化臨界現象を報告している。彼らは、ポピュレーション減衰という重要なフィードバック機構を、系の多体ダイナミクスに加えることによって、この臨界現象を実現している。今回の結果から、複雑かつ動的な挙動を、根底にある微視的な物理と関連付けることのできる実験プラットフォームが得られる。より一般的には、今回の結果によって、さまざまな科学分野における多様な非平衡現象の理解を深めることができる可能性がある。
2020年1月23日号の Nature ハイライト
原子物理学:自己組織化臨界現象
ナノスケール材料:ゲルマニウムによる半導体キュービットのスケーリング
物性物理学:固体を二次元ファンデルワールスナノ結晶へ変換する
エネルギー科学:リボンかハニカムか
水文学:三角州の正味の増大
神経発生:ヒト海馬発生の分子アトラス
発生生物学:ヒトの胚形成の解明
微生物学:母体の微生物相が新生仔の感染を防ぐ交差反応性IgG抗体を誘導する
がん免疫学:B細胞と三次リンパ組織様構造は免疫療法の奏効性を予測する
がん:がんと発生でEMTと繊維化を結び付ける仕組み
ウイルス学:cOAを標的とする新規な抗CRISPR酵素
分子生物学:クロマチンによる複製起点活性化の調節